Your body, your life

NYのピラティス屋さんの呟き

2025-05-21

私の現在の最高齢のレギュラーのお客様 Judyは、ニューヨークで1970年代にピラティスに出会ったという方です。

こうしてピラティスの歴史に触れる機会がふと訪れることは、ニューヨークでピラティスをしている醍醐味のひとつかもしれません。

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当時、Judyが教わっていたのが、ManhattanのUpper West Sideに自宅スタジオを開いていた、Judith Covan(ジュディス・コバーン)という方。Judith Covanは、元ダンサー(バレリーナ)で、怪我をした時にピラティスに出会いました。

そのJudithが通い始めた先が、今ではピラティスエルダーと呼ばれる一人、 Carola Trier(キャロラ・トゥリエー)のスタジオ。五番街のセントラルパーク近くにあり、同じくエルダーの一人 Kathy Grant(キャシー・グラント)もここで教えていたと知られています。

こちらもご参考まで: ピラティス・エルダー研究: ピラティススタジオを初めて開いた女性と歴史の話。

Carolaのスタジオに通い始めたJudithは、彼女の愛弟子となり、Carolaと一緒に教えた後に独立。ご自身が住んでいたアパートメントの寝室を夫の協力で改造して、自分のスタジオをスタートしたのでした。

この、寝室だったスタジオが、私のお客様のJudyが通っていたスタジオだったというわけです(長い話で登場人物が多くてちょっと混乱させていたらごめんなさい!)。

Judyは当時、TVにレギュラー出演したり映画に出たりと多忙を極めていて、首が痛くなり、友人にピラティスを紹介されました。それがたまたまこのJudith Covanのスタジオで、以来、10年以上通い続けたそうです。

Judyは本当に記憶力が良い人で、いろいろなことを覚えているのですが、このスタジオのこともよく覚えていて、リフォーマーが2台、キャデラックが1台、チェアが2台あったとのこと(レイアウトも教えてくれました)。Judith Covan自身がのちのインタビューで、キャデラックはジョセフ・ピラティスのオリジナルスタジオにあったキャデラックのサイズをメジャーで測って、その通りに作ったこと、リフォーマーの一台はオリジナルスタジオにあったものを譲り受けたことを話していますので、ジョーとの由縁が深いものを使っていたことになります。

また、個別レッスンやグループクラスなどではなく、同じ時間に何人かのクライアント(生徒)が来て、空いているピラティスマシン(本来はapparatusと言います)に行ってそれぞれで覚えているエクササイズを行い、Judithやアシスタントが見て回って、時々アドバイスをしてくれるという「ジム形式」を取っていたそうです。

Judyは、「見られていない時は、時々サボっちゃったのよねぇ、せっかく行ってたのに(笑)」などと笑っていますが、このジム形式というのは、かつてジョセフ・ピラティス氏のスタジオや、後のロマナ・クリザノウスカのスタジオでも踏襲されていた形で、今もインストラクター向けなどで行っているスタジオを時々見かけます。

今は、全員で同じエクササイズをする、いわゆるクラス形式のセッションの方が圧倒的によく見かけますよね。ある意味、真逆のこのスタイル、一般のクライアントさん向けにもできたら面白いのかもしれないと思いつつ、私はいまだに想像ができていません。

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クライアント各自が自分のエクササイズを覚えていたというだけあって、Judyはエクササイズをよく覚えています。今、私たちが教えているのとは少し違う動き方をすることもあり、先日は、当時 Rolling Like A Ballをどのようにやっていたかを見せてくれました。クラシカルピラティスと一言で言っても、先生の数だけバリエーションがあり、それぞれに考え抜かれているので、知るだけでもとても面白いんです。また、Carola Trierの弟子という人はあまりいないので、Judithから教わったという私のお客様の証言は、実は貴重なピラティスの歴史の断片かもしれません。

ピラティスマシンの中で、背板があるチェアのことを “Electric Chair”(電気椅子)と呼んだりしますし、私もそう教わりましたが、Judyによると当時はWunda Chairを “Dreaded foot chair” (恐るべし脚用椅子)と呼んでいたとのこと。

これは他の先輩方からも聞いたことがあるのですが、かつてチェアはフットワークにしか使っていなくて、かなりの回数フットワークをしたそうです。ジム形式だったから多様なチェアエクササイズまでは教えなかったということなのか。これも真相が知りたいところですが、とにかく、相当、脚を使ったのだと思われます・・・笑!

こういう先輩方、先人たちの話を聞くのは、ちょっとしたタイムトリップでもあるし、過去の先輩方と自分の立っている「今」が繋がる瞬間でもあって、すごくワクワクします。良い意味で好奇心を持って、出会いがあればまたこういうお話を拾い集めていきたいと思います。

ニューヨークでピラティスを🗽
http://www.typilatesnyc.com

日本人インストラクターによるニューヨークのピラティススタジオ
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ニューヨークのピラティススタジオ
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